●先週の朝日新聞夕刊be(火曜トラベル)をご覧になりました? 「
日本一の小京都を探す」というタイトルで、朝日新聞編集部とよろず評論家・山田五郎さんが候補地を選び、朝日新聞の会員サービス・アスパラで実施したアンケートのレポートが載ってました。
●回答総数19,080人、そしてその結果は…
●見事、「金沢市」が7,968人の得票で、堂々の第1位に輝きました。ちなみに、ベスト10は以下の通り。
1位 金沢市(石川県)
2位 萩市(山口県)
3位 高山市(岐阜県)
4位 津和野市(島根県)
5位 仙北市各館(秋田県)
6位 郡上八幡市(岐阜県)
7位 松江市(島根県)
8位 弘前市(青森県)
9位 湯河原町(神奈川県)
10位 豊岡市出石(兵庫県)●朝日新聞の読者と編集部、山田氏によって選ばれた結果ですが、おそらく他のメディアのアンケートでもそんなに大きく違いはないように思います。金沢は、「小京都」の1番手か2番手であることは、ほぼ間違いないのではないでしょうか。
●ただ、小京都ランキングで選ばれたのは非常に嬉しいことですが、よく考えてみると、「小京都」とは「小さな京都」つまり、「京都のミニチュア版」「京都風の町」「本物ではない京都」…といったマイナス的なイメージも含んでいるようで、そう思うと手放しでは喜べません。
※ついでに―(言葉遊び)
○「小京都」の裏に「大京都」という意識があるのでしょうか…
○小金沢(こがねざわ、演歌歌手)は許せるけど、小金沢(しょうかなざわ)なんてあってほしくない!
●みなさんそう思っているのか、記事中で取材を受けた金沢の各分野のおえらいさんたちは異口同音に、「京都の影響を受け、京都から学んだものは大きいが、実際には、古くから金沢に伝わる独自の文化との融合である」ということを強調しておられました。当然といえば当然ですよね。
●「京都には山(の幸)はあるが海(の幸)はない、金沢には両方ある」「加賀友禅のデザインは京都から採り入れたが、その技術は500年前から地域に伝わる梅染の技法である、そもそも京都から招いた友禅斎は金沢の人だ」「和菓子職人は京都から招いたが、和菓子文化は武家文化の茶道から生まれたものである」「茶道の裏千家は金沢が発祥の地」「能楽は13代藩主斉泰(なりやす)が作った言葉」…
なかにはこじつけ的に聞こえるのもありますが、本来、文化とは異種との交わりのなかで育まれるもので、他から影響を受けることは何も恥ずかしいことではないと思います。それを恥ずかしいと感じるのは、やはり“武家文化”ならではの感性なのかも知れませんね。
●でも、こんなに目くじら立てて独自性を叫ぶことはありません。そんなにムキにならなくても、金沢で暮らす人、金沢を訪れた人、金沢を知っている人たちは、京都にはない、真の金沢らしさを十分に感じているように思います。
●私は学生時代、関西で生活をしてまして、そのとき、大学の友人たちに京都出身の人が何人もいたし、卒業後も、京都へは何度も遊びに行きました。そのときの様子を思い出してみると、私が鈍感だったせいかも知れませんが、金沢と京都の似ているところなど、ほとんど感じられませんでした。
●当時の私の感覚は「金沢は田舎(地方)の城下町だ」ということくらいで、京都に似ているところがあるかもと思ったのは、後年、「町並み保存」「古い町づくり」などで「
町屋建築」という言葉を知ってからです。確かに、京都の町の風景には似ているところがあると思いました。でも、そこに住む人のモノの考え方や感覚、言動には、かなりの違和感を覚えたまま今日に至っています。
●日本の都市は昔から多かれ少なかれ東京や京都の影響を受けており、さらに、マスコミが発達している現代においては、お互いに影響を受け合っているわけですから、あまり意味のある議論ではありません。そう思うと、小京都という言葉にこだわることはないし、うがった見方をすれば、観光振興に利用しているだけなのかも知れません。だったら、なおさらこだわる必要はないですね。
●そういいながら、こうやって記事にするところをみると… (あなた、考えすぎ!)
●嬉し 恥ずかし 小京都 読み人知らず
金沢|
小京都