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金沢百万石まつりでおなじみの
加賀獅子舞。その獅子舞の胴体部分を
蚊帳(かや)というそうです。ご存知でした? 私は知りませんでした。
●モノにはすべて名前がついている、ということに興味をもって、身のまわりのモノに関する名前事典のような本を買った(読んだ、とはいいきれないところが哀しい)覚えがありますが、あの本には、さすがにこんなモノまでは載ってませんでした。
●金沢市のサイトに加賀獅子舞の説明ページがあり、ここに蚊帳の説明もあります。
金沢の伝統文化-獅子舞とは-2●この記事には「夏の寝床に使われた蚊帳がその名前の由来です。牡丹や獣毛の模様などが描かれた
巨大な麻布で作られています。」と書かれています。蚊帳と同じ麻布で作られているので、同じ文字なんですね。
●レトロブームのおかげで、現在でも寝室用の蚊帳はどこかで売られているようですが、私の子ども時代はどこの家でも、夏の夜の必需品でした。とくに私の場合、なぜか祖父の家の蚊帳が強く印象に残っています。
●麻の繊維とホコリと湿気が混ざり合った独特の匂いは、かなり強烈でしたね。押入れの中に束ねてしまわれている様はちょっと暑苦しく見えましたが、でも、いざ吊ってしまうと非常に風の通りがよく、蚊取り線香やフマキラーの匂いとともに、まさに快適な夏の睡眠環境をつくってくれたものです。
蚊帳(かや)の歴史 ※蚊帳が本格的に作られ始めたのは奈良時代で、初めは絹や木綿だったようです。
麻になったのは室町時代からで、近江国八幡の商人が作り始めたものだとか。
●獅子舞の蚊帳が麻布で作られたのは、もちろん通気性のことを考えてでしょうが、もう一つ、中で演奏されるお神楽の音を外にいる観客に聞かせるためでもあるようです。
●ところで、もう一つ、麻というと、私は「どんごろす」が思い浮かびます。どんたこすじゃないですよ、どんごろすです。農作物などを入れておく麻袋のことで、水害予防の土嚢にも使われていますね。
●そして、このどんごろすは薄茶色、寝室の蚊帳は濃い緑で、いずれも単色です。なので、麻はそれほど手の込んだ色はつけられない粗い素材だという勝手なイメージができあがっていました。
●まさか麻でできているとは思いもよらなかった獅子舞の蚊帳ですが、改めて写真などを見直すと、かなり派手な模様が描かれていますね。和風というか唐風というか、迫力のあるデザインです。
そんな獅子舞の蚊帳の色付けの職人さんの記事を見つけました。ちょっと早いけど、秋祭りが楽しみです。
獅子舞蚊帳、緋色鮮やか 金沢の「巨匠」玉作さん 秋の披露目へ染色本格化
(北國新聞 5月2日)
金沢市専光寺町の染物職人、玉作榮一さん(53)の作業場で、秋祭りに向けて県内外から注文を受けた獅子舞の蚊帳の染色作業が本格化した。この道約四十年の「匠(たくみ)」は鮮やかな赤いボタンの花や勇壮な獅子の巻き毛などを大胆かつ精密に描き、実りの秋のお披露目へ作業に汗を流している。
百年以上続く染色加工製造元「加賀印染(しるしぞめ)巨匠」四代目の玉作さんは、金沢市内をはじめ、県内各地や近県などから年間十五本前後の蚊帳作りの注文を受けている。布の大きさに応じて図案を決め、下絵を描いてから絵の輪郭部分にのりを置き、その上から染料をかける。染色した布は蒸し上げた後、水に半日つけてから乾燥させ、一枚に縫い合わせて完成となる。(後略)
●ところで、
第56回金沢百万石まつり、今年もあと1カ月でやってきますね。今年は帰れそうもありませんが、
昨年のことがなぜか懐かしく思い出されます。まだ1年しかたってないのに、不思議です。
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