金沢と文学 金沢遠望

2007年08月16日



金沢泉鏡花フェスティバル「鏡花シネマ」市民投票の結果は?

●今年11月7日〜8日、金沢21世紀美術館で泉鏡花原作の映画イベントが開催されます。

●同イベントは泉鏡花文学賞の制定35周年記念事業として行われ、7日・8日の2日間にわたって1日2回上映されますが、1本は「天守物語」(1995年、松竹=松竹富士配給)と決まっており、あとの1本を次の4作品から投票で決めようという試み。

 候補作
 「婦系図 湯島の白梅」(1955年、大映)
 「日本橋」(1956年、同)
 「夜叉ケ池」(1979年、松竹)
 「外科室」(1992年、松竹=テレビ朝日)

●受付は締め切られましたが、結果はどうだったのでしょうか。



●いずれも名画とされている香り高い作品ですが、ご覧になれなかった方のために「goo映画」で調べたあんちょこをどうぞ。


天守物語(1995年、松竹=松竹富士配給)
天守に住む魔性の女と一人の若侍の恋の顛末を描いたファンタスティック時代劇。

監督 坂東玉三郎

キャスト(役名)
 坂東玉三郎(富姫、舌長姥)
 宍戸開(姫川図書之助)
 宮沢りえ(亀姫)
 島田正吾(近江之丞桃六)
 南美江(薄)


婦系図 湯島の白梅(1955年、大映)
独和辞典の編纂にあたっている酒井俊蔵の愛弟子・早瀬主税には芸者上りの愛人お蔦があり、湯島妻恋坂に世をしのぶ世帯を持っていたが…

監督 衣笠貞之助

キャスト(役名)
 鶴田浩二(早瀬主税)
 山本富士子(お蔦)
 森雅之(酒井俊蔵)
 平井岐代子(酒井きん)
 藤田佳子(酒井妙子)


日本橋(1956年、大映)
妖しくも美しい女の恋の執念を描いた泉鏡花の名作を大映カラーによって再映画化。日本橋元大工町、幽霊が出るという噂のある露地の細道に稲葉家は移転。女主人お孝は雛妓お千世をはじめ…

監督 市川崑

キャスト(役名)
 淡島千景(稲葉家お孝)
 山本富士子(滝の家清葉)
 若尾文子(雛妓お千世)
 品川隆二(葛木晋三)
 柳永二郎(五十嵐伝吉)


夜叉ケ池(1979年、松竹)
 ※goo映画にデータがなかったためGoogle検索結果の中から

 フリーライター岡林秀明の「本を見る 映画を読む」: 泉鏡花『夜叉ケ池 天守物語』岩波文庫
 予想を裏切る、心地よい展開

 夜叉ケ池 東京グローブ座公演 2003年3月16日(日)〜4月6日(日)

 構成・演出 加納幸和

 出演
  佐藤アツヒロ…萩原 晃 (鐘楼守)
  松本莉緒…百合 (娘)
  加納幸和…白雪姫 (夜叉ヶ池の主)  他


外科室(1992年、松竹=テレビ朝日)
DVD情報をみる麻酔を拒否して手術を受ける伯爵夫人と若き執刀医との隠された思慕の念

監督 坂東玉三郎

キャスト(役名)
 吉永小百合(貴船伯爵夫人)
 加藤雅也(医学士・高峰)
 中井貴一(清長)
 鰐淵晴子(看護婦長)
 広田玲央名(庭園の夫人)


●泉鏡花の作品は地球温暖化対策にはもってこいの物語が多いですね。個人的には「夜叉ケ池」をおすすめしたいですが、文庫本で「夜叉ケ池・天守物語 (1984年)」というのも出てますので、やはりこの組み合わせがベストかな。

鏡花映画に“清き一票”を 市民投票受け付け中
(中日新聞 2007年7月24日)
金沢泉鏡花フェスティバル実行委員会は、十一月に金沢21世紀美術館で上映する泉鏡花原作の映画作品を決めるため、二十六日まで市民投票を受け付けている。候補は「婦系図 湯島の白梅」(一九五五年、大映)「日本橋」(五六年、同)「夜叉(やしゃ)ケ池」(七九年、松竹)「外科室」(九二年、松竹=テレビ朝日)。(後略)




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2007年07月13日



龜鳴屋(かめなくや)装丁の文学書展

●龜鳴屋―かめなくや。屋号からして凝りに凝った香りが漂っていますが、これは、金沢の小さな出版社の名前で、同社の本はすべて、ご主人の勝井隆則氏による、ほとんど手作りといってもいい装丁の本です。

●ホームページがありましたのでご覧ください。

 龜鳴屋

●トップページに「書店では取り扱っておりません。ご購入申し込みは、こちらへ。」という言葉があります。ということは、直接販売しかしていない出版社なんですね。超・個性派!

●驚きですね、この凝り様。本当に、心の底から本を愛する人にしかできない仕事です。

●大量出版・大量販売で生計を立てている大手出版社とまったく正反対。作家の方たちも、そんな勝井さんのポリシーや生き方に賛同して、龜鳴屋から本を出されるのでしょう。わがふるさとに、こんな個性的な出版社があるとは知りませんでした。

●書籍は、著作者である作家と、作家の原稿をデザインする編集者がいて、それをかたちにする印刷・製本屋さんがいて、それらのすべてを執り行う出版社(版元)があって、はじめて人の目に触れる本ができあがっています。

●手書きの写本時代から、江戸時代の版画出版(浮世絵)、明治以来の西洋印刷技術による大量出版、さらに最近ではインターネットによるデジタル出版、ケータイ小説のヒットなど、本の世界は技術革新によって大きな変貌をとげてきました。

●そんな時代の流れに棹をさし、いきなり紙文化の原点に立ち返らせてくれるのが、龜鳴屋の一連の書籍ですね。勝井さんの挑戦は、本当に本を愛する人たちによってこれからも支えられてゆくのでしょう。

●たしかに、私たちがこれまで買ってきた本、買いたいと思った本は、書かれてある内容によるものだけではありません。姿・形、デザイン、印刷書体、紙質など、見た目も内容も、すべてをトータルに気に入ったからこそ、欲しい、と思ったはず。

●しかし、龜鳴屋本の場合は、この装丁デザインが気に入ったから欲しい、ということになるわけで、これもまた本好きな人の楽しみ方であることに違いはありません。だって、勝井さんが装丁された本は、それなりの内容であることがわかっているから。

●今回の金沢文芸館での展示イベントが、龜鳴屋さんの新しい飛躍の出発点になることを祈りたいと思います。

味わい深い装丁60冊 金沢文芸館 きょうから龜鳴屋展
(中日新聞 2007年7月12日)
忘れられたり、世に知られない作家たちの作品を凝りに凝った装丁で出版してきた「龜鳴屋(かめなくや)」(金沢市大和町、主人・勝井隆則氏)の書籍を集めた「金沢の小さな版元 龜鳴屋〜知られざる作家たちの本」展が十二日から、尾張町の金沢文芸館(兼近靖志館長)で始まる。三十日まで。入館料百円。(中略)各本の制作エピソードを物語る貴重な原資料、各作家の紹介など資料七十点余りも懇切な説明と共に展示され、龜鳴屋の八年の歩みが一覧できる。

<龜鳴屋本>
 ○「宮崎孝政全詩集」(1999年刊) …第一冊目
 ○伊藤人誉著「馬込の家−室生犀星断章」特装本 …五冊目、室生犀星宅ゆかりのミニ竹垣を紙箱に施し、NHK教育テレビ「美の壺」にも取り上げられた
 ○「伊藤茂次詩集 ないしょ」(2007年3月刊) …六冊目、初の文庫本
 ○「中村薺(なずな)詩集」(2004年刊) …泉鏡花記念金沢市民文学賞受賞、装丁は名匠・金田理恵さん(東京)
 ○「大野直子さん(金沢市粟崎)詩集 寡黙な家」 …今年の中日詩賞新人賞、装丁は名匠・金田理恵さん(東京)
 他 約60冊を展示


 金沢文芸館へ行こう!: 文芸館で龜鳴屋の世界に浸ろう!!


●最近は全国的に書店の巨大化が進んでいますが、あの、北陸最大スケールの明文堂書店でも絶対に置いていない本が、ここにあります。希少価値大です。

●龜は亀の旧字だと思いますが、勝井さんはウサギとカメの亀のような人生を目指しておられるのでしょうか。でも、亀が鳴くとはどういうことなんでしょう。そもそも亀の鳴き声って、聞いたことあります? すごい想像力を求められる屋号ですね。





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2007年06月19日



流浪の歌人、尾山篤二郎を偲ぶ朗読会

ハープと朗読 打ち合わせ 金沢出身歌人の世界を入念に
24日、宇多須神社で本番 東山『響会』

(中日新聞 2007年6月20日)
金沢市東山周辺の寺で朗読を交えたコンサートを開いている東山「響会(ひびきかい)」が二十四日、同所の宇多須神社でハープの音にのせて、金沢市出身の歌人尾山篤二郎の作品を朗読する会を開く。(中略)


●金沢市出身の歌人・国文学者、尾山篤二郎(おやま とくじろう)―私も知らない方ですが、明治から昭和にかけて、東京、名古屋、金沢と、漂泊の生活を続けながら、短歌、歌論、古典和歌研究に一生を捧げた歌人です。

といっても、ピンとくる人は少ないですよね。

尾山篤二郎
歌人・国文学者 明治22年(1889)〜昭和38年(1963)
在郷時代室生犀星、田辺孝次らと交友。若山牧水の「創作」、その他の同人となる。古典、ことに西行の影響を受ける。また万葉集や西行の研究者としても有名。主宰誌「芸林」。

○別号 刈萱、秋人、無柯亭主人
○浅野川に程近い金沢市横安江町生まれ、父親は雑貨商
○明治33年、金沢商業入学、同36年膝関節結核によって右足を大腿部から切断
○中学を中退の後、歌人をめざす
○大正2年、処女歌集「さすらい」)出版
○東京、名古屋、金沢、旅と漂泊を続けながら、短歌、歌論、古典和歌研究を発表
○昭和21年、歌集「とふのすがごも」、同23年「大伴家持研究」などの業績で同26年芸術院賞
○残した歌集は11、収められた歌は7288首
○犀川・下菊橋付近に尾山篤二郎生誕百年記念碑、兼六園と本多の森の間に歌碑、浅野川常磐橋詰に歌碑

石川県関係人物文献検索―尾山篤二郎―石川県立図書館

●明治の人には共通した気骨を感じます。K前首相の「骨太の方針」、A現首相の「美しき日本」といったうすっぺらな言葉などと比べ物にならないくらい“美しく、骨太な生き方”を貫いた、わがふるさとの歌人です。

●何よりも私が共感したのは、長年、流浪の生活をしながらも、その歌のテーマは常に「望郷」にあり、ほとんどの歌がふるさと金沢を思って作られた作品である、という点にあります。

●14歳のときに右脚切断! まさに絶望から始まった人生だったと想像されますが、篤二郎は、ふるさと金沢を強く思い、歌を詠み続けることで、命の炎を燃やし続けることができたようです。

●私など足元にも及びませんが、ふるさとを愛する気持ちの強さが、辛い日々を耐え抜く原動力になりうるということに驚かされました。

●6月24日(日)、宇多須神社で開催されるハープと朗読のコンサートで、尾山篤二郎の歌を聴いてみませんか?

宇多須神社:金沢五社の一つで、藩政期には前田家の祈祷(きとう)所であった。地元では「毘沙門さん」と呼ばれ親しまれている。




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2006年08月05日



「金沢と大拙」展 8月3日〜9月30日 金沢市ふるさと偉人館


金沢市立ふるさと偉人館「鈴木大拙」

●個人的にはちょっと頭の痛くなる「哲学」の分野なのですが、受験勉強で暗記させられた文人・哲学者のなかに、鈴木大拙(すずき だいせつ)と西田幾太郎(にしだ きたろう)の名前がありました。鈴木大拙は「禅の研究」、西田幾太郎は「西田哲学」、ともに仏教や禅、哲学に関する大家という記憶しかありませんが、このお二人は金沢と金沢の隣町ともいえるかほく市(昔の石川県河北郡)の出身です。

●「哲学」は人間の生き方や行動の根本にある考え方である、としか理解できない私としては、大学の教養課程で2年間も学ぶことになった(1年で合格点がもらえなかった)ほど、苦手で未知なる世界です。知っていることといえば、お二人とも日本の思想史・哲学史・文学史の中で大きな存在感のある学者である、という程度。お恥ずかしい。

●仏教も哲学も、本来は世の中を生きるため(人生)の根本原理を研究・追求する世界で、人間にとって非常に大切なものであるはずなのですが…正直いって、ダメですね。人間はどこからきて、どこへ行くのか、なんて考えるだけで時間が…

●ただ、昨今の殺伐とした事件や凶悪な犯罪のニュースを見聞きすると、やはりこのような物事の真理や生命の尊さを学ぶ機会の必要性も感じてしまいます。ただ、それをまともに教えられる人がはたしているかというと…それも難しい感じがしてきました。学者、教師、法律家、警察官、大人、家族、友だち…いったい誰を信じていいかわからなくなるときがありますので…

●でもやはり、「いかに生きるか」は他人事ではなく、自分自信の問題でした。たとえ哲学の真理に到達は出来ずとも、その周辺事情をうかがい知ることも悪くはない…とお思いの方には、大拙展はいい機会です。
大拙の業績、魅力一堂に 鎌倉で没後40年記念巡回展
(北國新聞社 2006年6月7日)世界に禅や東洋の心を広めた金沢市出身の仏教学者・鈴木大拙の「没後四十年記念展」のオープニングセレモニーと内覧会が七日、鎌倉市の鎌倉国宝館で行われた。鎌倉、金沢、京都の巡回展となり、出席者は、ゆかりの地で大拙の業績や人となりを伝える展覧会の成功を期した。金沢では八月三日から九月三十日まで「金沢と大拙」(北國新聞社後援)と題し、金沢市ふるさと偉人館で開かれる。(後略)

鈴木大拙(すずき だいせつ、本名:貞太郎〔ていたろう〕):明治3年(1870)-昭和41年(1966) 石川県金沢市本多町に、旧金沢藩藩医の四男として生まれる。1959年日本学士院会員、文化勲章、仏教学者(文学博士)。
(Wikipedia)

西田幾太郎(にしだ きたろう):明治3年(1870)-昭和20年(1945)石川県かほく市出身、日本を代表する哲学者、京都大学教授。京都学派の創始者で、その哲学は「西田哲学」と呼ばれている。
(Wikipedia)


●金沢出身の学者は他にもたくさんおられます。金沢という街は伝統的に、文学・哲学・仏教を学ぶ環境に恵まれているということでしょうか。私のような例外人間も多いですが。




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2006年07月03日



徳田秋声お食事会 尾張町「まつ本」あゆの田楽

●7月1日、金沢の3大文豪、徳田秋声に関するイベントが行われました。

●短編集「町の踊り場」に登場する老舗の料理旅館「まつ本」(金沢市尾張町)で、秋声の作品に出てくる料理を味わいながら、秋声の作品や人間像を語り合うという企画だったようですね。

●徳田秋声の小説は、あいにくと読んだことがありません(受験時代の記憶はおぼろ)。しかし、「戦争の時代に、政府が作家たちを組織しようとしたときに、今までの日本の作家はお上の世話にはならなかったという趣旨の発言をして、その試みを流産させたこともある(Wikipedia)」という話を知り、いかにも作家らしい骨太の生き方を貫いた人であったことに感動しました。いつの日か、作品を読せていただきます。

●明治の作家には食通が多いみたいですが、徳田秋声もそんなにグルメな人だったのでしょうか。もっとも、新鮮な野菜や魚介類に恵まれている金沢という街の出身者は、だれもが生まれながらのグルメかも知れませんが。
情景浮かぶ“秋声の味" 作品中の料理テーマに食事会 「町の踊り場」登場 尾張町・「まつ本」あゆの田楽を用意
(中日新聞)
郷土出身の文豪、徳田秋声の作品に出てくる料理をテーマにした食事会(徳田秋聲記念館主催)が一日、金沢市尾張町の老舗の料理旅館「まつ本」であり、秋声のファンら約三十人が料理を堪能した。 (沢田一朗)
食から作品への理解を深めてもらおうと今年初めて企画した。今回、取り上げたのは、みそを付けて焼いた「あゆの田楽」で、秋声が再出発する記念の作品となった短編集「町の踊り場」に登場する。作品では、一九三二年ごろ、秋声は「あゆを食べさせるところはないだろうか」と「まつ本」を訪れたが、結局食べられなかったことがつづられている。
料理旅館「まつ本」は、この企画のために、あゆの田楽を中心にした特別料理を用意。参加者は、作品を思い浮かべながら文豪がこだわった味を楽しんだ。(後略)

●いいですね、あゆの田楽ですか…。
 10年ほど前に、手取川河畔の民宿料理屋さんで食べた鮎の塩焼きを思い出しました。


徳田秋声プロフィール
 1872年2月1日(明治4年12月23日)金沢市横山町生まれ。旧制第四高等学校(金沢大学の前身)卒。尾崎紅葉に師事し、泉鏡花、小栗風葉、柳川春葉らとともに「葉門の四天王」と呼ばれる。泉鏡花とは小学校の同窓で1学年上。島崎藤村・正宗白鳥らと共に日本ペンクラブの設立にも参加。昭和16年(1941年)、新聞連載の『縮図』が当局の検閲を受けて中断。昭和18年に(1943年)死去。

●主な作品
 『雲のゆくへ』『わかき人』『煩悶』『新世帯』『黴』『爛』『あらくれ』『奔流』『犠牲者』『誘惑』『町の踊り場』『仮装人物』『縮図』

徳田秋声記念館
徳田秋声(Wikipedia)
卯辰山山頂の徳田秋声文学碑(じゃらんnet)


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2005年11月23日



第33回泉鏡花文学賞授賞式 11月22日

●昨日、先月発表されていた第33回泉鏡花文学賞の授賞式が行われました。今年は、神奈川県相模原市の寮美千子さんの小説「楽園の鳥 カルカッタ幻想曲」(講談社)が受賞。今年は地元の方ではなかったようですね。

●金沢市が現代文学(文芸?)に力を入れるようになったのは、実際に金沢に縁のある大作家が大勢いるということもありますが、直接的な動機としては、明治から昭和にかけ、泉鏡花、徳田秋声、室生犀星という3人の文豪を輩出しているからなんですね(文芸好みの趣向は江戸・前田藩の時代からあったようですが)。

●ところで3文豪の本、あなたはどれくらい読まれました? 私は若い頃、ほんの数冊しか読んだことがありません。一番読んだのは室生犀星ですが、それでも4、5冊でしょうか。泉鏡花は1、2冊。こちらは映画やドラマでは何度か接したことはあります。恥ずかしながら徳田秋声の作品はまだ一冊も… 大反省。

●文学青年でなかった私は、実生活上、何も困ることはありませんでした。しかし、歳をとるにつれてふるさと金沢という街のことを深く知りたいという気持ちが強くなり、その流れの中で、将来時間があれば読んでもいいかな、と思うようになってきました。不思議ですね、人間の心の動きは。(こんな私も、なぜか70年代の五木さんの作品だけはかなり読んだ覚えがあります)

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2005年10月14日



第16回日本海文学大賞、決まる

●日本海文学大賞は日本海側地域と関係のある作品を期待して、北陸中日新聞(中日新聞北陸本社)が主催して毎年行われている文学賞です。今年が16回目。地域で行われる文学賞はそれほど多くなく、文学の街、金沢にふさわしい新人作家の登竜門として全国に知られるようになりました。願わくばベストセラーが生まれてほしいもの。
第16回日本海文学大賞 選考結果
(北陸中日新聞)
第十六回日本海文学大賞の第二次(最終)選考会が東京都内で開かれ、入賞者と作品が次の通り決まりました。贈賞式を十一月二日正午から、金沢市武蔵町の金沢スカイホテルで開きます。
○小説「朱色の命」 長野 修(神奈川県茅ケ崎市)
○詩 「漂う、国」 大江 豊(愛知県一宮市)
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2005年03月21日



本日の「みみずくの夜メール」より

●「みみずくの夜メール」は朝日新聞に連載中の五木寛之氏のコラムで、本日(2005年3月21日)が第130話。今回は百寺巡礼の旅を終えての感想で、大和の室生寺から大分県中津の羅漢寺まで、訪れたお寺の思い出や印象に残ったことが書かれています。

百寺巡礼(第7巻)東北

百寺巡礼(第7巻)東北
著者:五木寛之、出版社:講談社、本体価格:1,500円

●その中で「金沢の大乗寺の烏骨鶏(うこっけい)カステラの味が忘れがたい」とありました。大乗寺(野田山)は前田家の墓所で有名なところですが、現在は市の墓苑になっていて、私の実家の墓もある墓地です。で、帰省のたびに野田山へ墓参に行っているのですが、その途中に通る道端に「烏骨鶏」の大きな看板があるのを思い出しました。どうやら喫茶店のようなので、一度、立ち寄ってみようと思っていた場所です。
烏骨鶏カステラ
烏骨鶏友の会

●観光ルートではないので旅行者には行きにくい場所だと思いますが、もし金沢駅などで「烏骨鶏カステラ」を見つけたら(コンビニで売ってるそうです)、ぜひ一度買ってみてください。私も次の帰省の折には食べてこようと思います。

●ところで、五木寛之といえばベストセラーで未完の長編「青春の門」。そのテレビドラマが今夜とあす、TBS系で2夜連続の特別番組として放送されます。今回が5回目の映像化だそうで、主役のタエ役には、吉永小百合さん(映画)、松坂慶子さん(映画)、小川真由美さん(テレビ)、黒木瞳さん(テレビ)、若尾文子さん(舞台)に次いで6人目となる鈴木京香さんが配されているとか。そうそうたる女優の顔ぶれだけでも、五木作品のすごさや人気度が想像されますね。お見逃しなきよう!

青春の門

青春の門 筑豊篇(1)
著者:いわしげ孝 / 五木寛之、出版社:講談社、本体価格:514円

TBSテレビ放送50周年スペシャルドラマ『青春の門−筑豊篇−』

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五木文学の中の金沢

●湿っぽい気候は人間関係もウエットにさせるようで、私が育ったころの金沢は、けっこうそれを強く感じ、私の場合はそれがイヤだったために、県外での進学・就職につながってしまいました。

●しかし、外から見る金沢は、まったく違います。旅行や観光に訪れる人にとっては、金沢人のていねいな対応ぶりや心づかい、謙虚なものごしなどに、大都市では失われてしまった、日本古来のこまやかな“人情”を感じることが多いと思います。

●私見ではありますが、五木寛之の文学に描かれている金沢人は、そんなロマンチックな人が多いように感じます。氏の作品のおかげで、現在の観光都市としてのイメージがずいぶんアップしたのではないでしょうか。

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2005年02月18日



文学のまち金沢

●金沢の3文豪とわれているのは、泉鏡花、徳田秋声、室生犀星の3人です。他にも金沢にゆかりのある文人、作家は数多くいます。

●金沢生まれ&石川県出身の作家たち
 尾山篤二郎、島田清次郎(美川町)、杉森久英(七尾市)、谷口吉郎、長沢美津、深田久弥(加賀市)、水芦光子、唯川恵(昭和30年生まれ)

●金沢にゆかりのある(金沢に関する作品のある)作家たち
 芥川龍之介(東京都出身、室生犀星の招きで来遊)、芦田高子(岡山県出身、歌集兼六園)、五木寛之(福岡県出身)、井上靖(北海道生まれ)、佐多稲子(長崎県出身)、曽野綾子(東京都出身)、高橋治(千葉県出身)、竹久夢二(岡山県出身)、立原正秋(韓国生まれ)、永瀬清子(岡山県出身)、中野重治(福井県出身)、中原中也(山口県)、長谷川如是閑(東京都出身)、舟橋聖一(東京都出身)、古井由吉(東京都出身)、真継伸彦(京都府出身)、三島由紀夫(東京都出身)、水上勉(福井県出身)、水原秋櫻子(東京都出身)、村上元三(朝鮮生まれ)、村松友視(東京都出身)、守山啓(新潟県出身)、与謝野晶子(大阪府出身)、吉田健一(東京都出身)

●日本を代表する有名作家から地元出身の作家まで、金沢に関する作品を発表されている方が大勢おられます。少しずつ調べてまいります。
ちなみに、私は五木寛之のファンです。

○出典:「文学への旅 金沢・名作の舞台」(平成12年3月刊、企画・発行金沢市)


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