●短編集「町の踊り場」に登場する老舗の料理旅館「まつ本」(金沢市尾張町)で、秋声の作品に出てくる料理を味わいながら、秋声の作品や人間像を語り合うという企画だったようですね。
●徳田秋声の小説は、あいにくと読んだことがありません(受験時代の記憶はおぼろ)。しかし、「戦争の時代に、政府が作家たちを組織しようとしたときに、今までの日本の作家はお上の世話にはならなかったという趣旨の発言をして、その試みを流産させたこともある(Wikipedia)」という話を知り、いかにも作家らしい骨太の生き方を貫いた人であったことに感動しました。いつの日か、作品を読せていただきます。
●明治の作家には食通が多いみたいですが、徳田秋声もそんなにグルメな人だったのでしょうか。もっとも、新鮮な野菜や魚介類に恵まれている金沢という街の出身者は、だれもが生まれながらのグルメかも知れませんが。
情景浮かぶ“秋声の味" 作品中の料理テーマに食事会 「町の踊り場」登場 尾張町・「まつ本」あゆの田楽を用意
(中日新聞)
郷土出身の文豪、徳田秋声の作品に出てくる料理をテーマにした食事会(徳田秋聲記念館主催)が一日、金沢市尾張町の老舗の料理旅館「まつ本」であり、秋声のファンら約三十人が料理を堪能した。 (沢田一朗)
食から作品への理解を深めてもらおうと今年初めて企画した。今回、取り上げたのは、みそを付けて焼いた「あゆの田楽」で、秋声が再出発する記念の作品となった短編集「町の踊り場」に登場する。作品では、一九三二年ごろ、秋声は「あゆを食べさせるところはないだろうか」と「まつ本」を訪れたが、結局食べられなかったことがつづられている。
料理旅館「まつ本」は、この企画のために、あゆの田楽を中心にした特別料理を用意。参加者は、作品を思い浮かべながら文豪がこだわった味を楽しんだ。(後略)
●いいですね、あゆの田楽ですか…。
10年ほど前に、手取川河畔の民宿料理屋さんで食べた鮎の塩焼きを思い出しました。
●徳田秋声プロフィール
1872年2月1日(明治4年12月23日)金沢市横山町生まれ。旧制第四高等学校(金沢大学の前身)卒。尾崎紅葉に師事し、泉鏡花、小栗風葉、柳川春葉らとともに「葉門の四天王」と呼ばれる。泉鏡花とは小学校の同窓で1学年上。島崎藤村・正宗白鳥らと共に日本ペンクラブの設立にも参加。昭和16年(1941年)、新聞連載の『縮図』が当局の検閲を受けて中断。昭和18年に(1943年)死去。
●主な作品
『雲のゆくへ』『わかき人』『煩悶』『新世帯』『黴』『爛』『あらくれ』『奔流』『犠牲者』『誘惑』『町の踊り場』『仮装人物』『縮図』
●徳田秋声記念館
●徳田秋声(Wikipedia)
●卯辰山山頂の徳田秋声文学碑(じゃらんnet)
徳田秋声|泉鏡花