広坂通りアメリカシロヒトリ事件 金沢遠望

2006年08月30日



広坂通りアメリカシロヒトリ事件

●金沢の中心街、香林坊と兼六園のあいだの広坂通りの桜の街路樹が、この夏、大量のアメリカシロヒトリに襲われているとか。

アメリカシロヒトリ大増殖 金沢・広坂通り周辺 桜並木ボロボロ 捕殺追いつかず「薬剤を」
(北國新聞 2006年8月29日)
樹木の葉を食い荒らすアメリカシロヒトリが、金沢市内で駆除を上回る勢いで大量発生している。同市は五年前、環境や人体への影響に配慮するとして、昭和四十年代から続けてきた薬剤散布をやめて、枝ごと切り取る「捕殺方式」に方針転換。二年前には「必要最小限」の範囲で薬剤散布を再開したものの、駆除が追いつかないのが実情だ。住民からは「効果のある薬で一掃を」との要請が増えており、市側は対応に苦慮している。(後略)

●「アメリカシロヒトリ」って何かと思ったら、ガ(蛾)でした。私はガのアレルギーなので、名前を聞いただけでもジンマシンがでてきますが、何とかがまんして、こちらで写真を見つけました。

 アメリカシロヒトリ

●どこかで見たような形をしてます。「戦後間もなくアメリカから渡来した有名な侵入種」と書いてありますよ。ヒトリだなんて、ウソつき!

●最近は人体・環境への影響を考慮して殺虫剤が使われなくなっため、突然、害虫の大量発生などに見舞われる危険性が高まっています。温暖化で異常気象が続くと、同じようなことがますます増えてきそうです。

●薬剤散布の是非…むずかしい問題です。一般に、害虫に効く薬剤は人間にも効くからです。人間に効くとどうなるか。化学薬品が人間に影響を及ぼした事例は、古くは水俣病、四日市喘息などの公害や事件から最近のアスベスト問題、シックハウス症候群まで、とんでもない病気や異変をもたらしてしまいます。

●子どもの頃、父が蚊帳(かや)の中に入った一匹の蚊をとるために、私たちの寝ている真上にフマキラーを“散布”していた時代がありました。むかしも今も、蚊は、日本脳炎やマラリヤなどを媒介する危険な害虫です。なので、子どもたちを蚊から守ろうという気持ちはよくわかりますが、当時は殺虫剤などに対して、だれもが驚くほど鈍感でした。

●そんなに撒いて体に悪いのでは…と、母は心配顔で言ってましたが、父はたぶん、日本脳炎やマラリヤのほうが怖いから仕方がない、という考えだったと思います。殺虫剤が人体によくないかもしれないことは、ある程度だれもが知っていたと思いますが、大量に吸わなければ問題ないだろうと軽く考えられていた時代でした。

●しかし、現在は違います。戦後60年間、いろんな薬剤にさらされてきた大人たちから生まれた子どもたちは、生まれながらにアレルギーや喘息、アトピーなどに悩まされ、ひょっとして先天的な障害にも影響している可能性もある、ということがわかってきています。だから、安直に薬剤を使うことは許されません。

●害虫の異常発生は異常気象のおかげ。異常気象は温暖化のおかげ。温暖化は人間の活動のおかげ。と、すべては私たち人間が生きているために起きているんですね。

●だったら、どうすればよいのでしょうか。

●個人的には、化学薬品に頼るのは最後の最後で、その前に、いろいろ対策を考えるしかないと思います。
 目先の事態には対応できませんが、たとえば、アメリカシロヒトリの天敵を見つけて利用するとか、アメリカシロヒトリの嫌いな音波(周波数)で追い払うとか、アメリカシロヒトリを引き寄せるワナを仕掛けるとか… 甘いでしょうか。

●人間が生きていく限り根本的な対策にはなりませんが、原発や兵器の開発などに比べたら時間もお金もかからない、非常に簡単で有意義なことだと思うのですけど。甘いでしょうか。

●金沢という美しい古都の中心街がガの幼虫の大群に襲われるなんて、ヒッチコック映画のような怖いお話。反省しなければならないのはサルではなく、無意識・無自覚に環境破壊を続けている私たち自身なんですね。

<追加情報>
金沢の一部 アメリカシロヒトリ幼虫大発生 早期発見 防除を
(中日新聞)

posted by kenbo | 石川 ☔ | Comment(2) | TrackBack(0) | TOPICS | 金沢遠望 TOPへ
この記事へのコメント
子供のころは横浜でもよく薬剤散布をやっていたのですが、桜の木も少なくなってみかけなくなりました。
金沢にきたらやっていたのでちょっと驚いた覚えがあります。
今年の金沢での発生に関しては全国ニュースでもやっていました(途中でオリンピック会場の記者会見になっちゃったけれど)。
来年の桜が心配ですね。
Posted by くてくて at 2006年09月02日 01:10
●くてくてさん、いつもコメントありがとうございます。

●全国ニュースでもやってました? まさに大事件ですね。

●桜の葉っぱって、日本人も餅といっしょに食べているので、アリカシロヒトリは私たちにとって二重にライバルです。

●そういえば昨日、エチゼンクラゲの利用法の講習会(珍味にして食べる)が地元(福井でしょうか)で行われたというニュースをラジオで聞きました。まさかアメリカシロヒトリを食べるなんて恐ろしいことはできませんが、蚕のように、何かに有効利用できれば一石二鳥なんですけどね。

●人間って、身勝手で残酷…
Posted by kenbo at 2006年09月02日 03:20
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